今回の日記は前回の日記の続きです。
(http://battlecruiser.diarynote.jp/201112091709082171/)
この文章は個人的な意見なので他の意見もたくさんあると思います。
違うと思ったことや、おかしいと感じたことなどはご指摘いただければ幸いです。
まず、結構マニアックな話題になると思います。
ここで言うマニアックとは世間一般ではあまりされないような話であり、他のデッキに関してはあまり役に立たない部分も多いと思いますので一応。
まずはNULL MUD(再掲)
Business (34)
4 《虚空の杯/Chalice of the Void》
4 《無のロッド/Null Rod》
4 《抵抗の宝球/Sphere of Resistance》
4 《アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》
1 《三なる宝球/Trinisphere》
3 《からみつく鉄線/Tangle Wire》
1 《煙突/Smokestack》
4 《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph》
4 《磁石のゴーレム/Lodestone Golem》
2 《先駆のゴーレム/Precursor Golem》
3 《映し身人形/Duplicant》
Mana Sources (26)
1 《Black Lotus》
1 《Mox Emerald》
1 《Mox Jet》
1 《Mox Pearl》
1 《Mox Ruby》
1 《Mox Sapphire》
1 《Mana Crypt》
1 《太陽の指輪/Sol Ring》
1 《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》
4 《Mishra’s Workshop》
4 《古えの墳墓/Ancient Tomb》
1 《裏切り者の都/City of Traitors》
1 《露天鉱床/Strip Mine》
4 《不毛の大地/Wasteland》
3 《幽霊街/Ghost Quarter》
Sideboard (15)
1 《映し身人形/Duplicant》
3 《鋼のヘルカイト/Steel Hellkite》
2 《先駆のゴーレム/Precursor Golem》
4 《虚空の力線/Leyline of the Void》
3 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
2 《The Tabernacle at Pendrell Vale》
前回、「とはいえこのデッキ、非常に理に叶った構築がなされていることも確かである。」
と最後の文章で書いた。
自分が理にかなっていると感じた理由をここで書きたいと思う。
上記のように感じた理由は以下の3個だ。
①《Null Rod/無のロッド》を中心とした構築
②土地破壊カードの枚数
③マナ配分
これらは複雑に絡み合っているので一つ一つ議論していくことはまず無理だと思われる。
従って、複数の要素に関して一度に述べることになり、わかりにくくなってしまうのはご容赦いただきたい。
まず、①《Null Rod/無のロッド》を中心とした構築
言わずもがな、Vintegeではアーティファクトを一種のマナ基盤と捉えて構築する傾向がある。
それらを否定することのできる《Null Rod/無のロッド》は非常に強力だ。
勿論、自分にも効果が及んでしまうわけで、起動型能力を必要とするアーティファクトはこのデッキでは如何に強力な効果を持とうとも扱いづらいことを意味する。
→マナ・アーティファクトは展開のために必要不可欠なので、どうしても手放すことは出来ない
実際、このデッキは《金属細工師/Metalworker》や《カルドーサの鍛冶場主/Kuldotha Forgemaster》、《威圧の杖/Staff of Domination》そして《銀のゴーレム、カーン/Karn, Silver Golem》といったカードを入れていない。
→余談だが、最近のMUDには《金属細工師/Metalworker》の有無は関係ない。
これらのカードはゲームを決める力が往々にしてある。
しかし、NULL MUDには適さない。だから、入れない。
単純なようだが、このように割り切って構築することは大事であり、Vintageのデッキでは珍しいとも個人的には思っている。
《修繕/Tinker》と《荒廃鋼の巨像/Brightsteel Clossus》、《Time Vault》と《通電式キー/Voltaic Key》等は良い例だ。
2枚のカードを投入するだけで勝ち手段が増えるのだから、魅力的であるのは確かだが。
→今回の議論とは逆説的であるが、全くシナジーを無視してでもこれらのカードを投入するのも構築であるので、どちらが良いかは言えないが。
NULL MUDは《Null Rod/無のロッド》を見越した上での構築をしている。
アーティファクトは誘発型能力によりアドバンテージを確保しようとしているのが見て取れると思う。
この傾向は、最近のトレンドだろう。
さて、話はそれだけでは終わらない。
このデッキ、相手の行動に対してもしっかりと構築されている。
《Null Rod/無のロッド》抑えられないマナ基盤がある。
土地だ。
マナ拘束や《Null Rod/無のロッド》を展開された場合、相手が頼るマナ基盤は土地だ。
これは明白である。
そこで、②土地破壊カードの枚数が意味を持つ。
総計8枚。
この枚数を聞いてピンと来た人は相当Vintageをやり込んでいる方々だろう。
8という数字は往々にしてMUD以外のコントロール系デッキ(Tezzeret’s Vault等)が搭載する特殊地形の数だ。
デッキによっては基本地形も含めて10枚程度というデッキもあるくらいだ。
つまり、理論上相手のマナ基盤を完全に破壊することも可能である。
NULL MUDには《Null Rod/無のロッド》によってアーティファクトによるマナ基盤を潰し、残りの要素も理論上、しっかり否定できる枚数が入っているのだ。
何?基本地形があるって??
たしかにその通り。
しかし、Vintageでは基本地形は多くても3枚であり、Dual Landsの代わりはまず務まらない。
加えてNULL MUDは上記8枚の土地を妨害として使用し、失われても機能するように構築されている。
→詳しくは「③マナ配分」で
Vintage環境は基本地形でさえ、《露天鉱床/Strip Mine》の存在により完全な信頼を置けない環境であると言うことが出来るだろう。
基本地形は確かに頼れる。
しかし、その信頼度は他の土地と比べてであって、決して絶対的なものではない。
(青)(青)のダブルシンボルが必要なデッキは《島/Island》二枚あれば良いという構築の仕方はVintageにおいて誤りである場合が多い。
むしろ、危険だ。
基本地形を出したら、《露天鉱床/Strip Mine》で割られてGGということが起こりえる。
これは明らかにプレイングミスであると思う。ミスの判断は個人に委ねられるので最終的な判断は各々に任されることも書いておく。
《露天鉱床/Strip Mine》は如何なるデッキにも入りうる。
MUDだけではない。
実例を出そう。
実際に同大会で3位に入っていたデッキには《露天鉱床/Strip Mine》が積まれていた。
デッキは青黒Plainswalker/Snapcaster Controlと言って良いだろう。
このデッキに対して、初手にカウンター沢山と《島/Island》や任意の土地1枚、《Ancestral Recall》などという手札をキープしようものなら、場合によっては何もできないだろう。
どれほど優れたカウンターを搭載していても無駄だ。
いや、どれほど優れた手札でも土地の枚数によっては辛い。
このように、相手に《露天鉱床/Strip Mine》が1枚あるだけで、キープやプレイ基準が変わる。
《露天鉱床/Strip Mine》がVintageで制限、Legacyで禁止カードである所以はここにあるだろう。
《幽霊街/Ghost Quarter》も、Dual Landsが基本地形に変わることも痛手だ。
特に、Snapcaster Controlにおいては土地を並べることが大切であり、土地が1枚無くなるというイベントがデッキに与える影響は予想以上に大きい。
MUD側も土地を1枚諦めなければならないが・・・
《幽霊街/Ghost Quarter》の場合はMUD側も《露天鉱床/Strip Mine》や《不毛の大地/Wasteland》程は手放しでは使えない。
ここで次の話題が出てくる。
③マナ配分についてだ。
まず、NULL MUDの平均マナコストから見ていこう。
総呪文コスト97
以上より、60で割れば1.6。
感想は個人に任せる。
MUDというと「《Mishra’s Workshop》を始めとしたマナ加速からパワーカード連打」という印象を持っている人もいると思うが、個人としてはそんなことはないと思う。完全に間違っているとも言えないが。
勿論、そういった構築・プレイングの方が良ければそうする。
現段階ではそのような構築では通用しないだろう。
Business(=仕事をするカード)自体の平均マナは
97÷34=2.9(≒3!!)
お分かりだろうか。
3という数字は《Mishra’s Workshop》が供給するマナ数であり、2.9という数字は非常に理想的だ。
この数字は3より大きくてはならないが、3未満であると無駄が出てくる。
理由は簡単。
最大のマナ基盤である《Mishra’s Workshop》で唱えられるコストでなければならないが、逆に小さいとマナが無駄になってしまうからだ。
つまり、NULL MUDのマナ構築には無駄がない。
ここで、Business(=仕事をするカード)の総呪文コストをManaSourceで割ってみる。
すると、97÷26=3.7
およそ4。
この数字が意味するところはマナ基盤に相当するカード1枚が出せるべきマナ数だ。
当然、足りない。
→3.7はデッキを回す上で、総体的にマナ基盤に対し要求するマナとも受け取れる。
ということで、2枚以上のManaSourceを用いで確保しなければならない。
つまり、このデッキは初手に最低でも2枚以上のマナ基盤を必要とすることを意味する。(正確には4マナが目安になるということ)
ところで、この4という数字をみてニヤリとする人もいるのではないだろうか。
そう、「《Mishra’s Workshop》+マナ基盤1つ」
実は、これこそがMUDのマナ基盤の基本であり、キープ基準のひとつとなっている。
MUD/Staxの基準の一つが《Mishra’s Workshop》であるのは、強力な4マナアーティファクトを1ターン目に出すためではない。
ひいては、4マナが集中しているからでもない。
4マナを出せることがデッキの85%-90%を利用できることにつながるからだ。
ちなみに、このデッキのメインでは4マナ揃うと65枚、つまり90%以上を唱えられる。
そして、追加のマナ基盤は必要ない。
つまり、《露天鉱床/Strip Mine》や《幽霊街/Ghost Quarter》といったカードは出し惜しみせず使用できる。
《Null Rod/無のロッド》の場合は他に《Mishra’s Workshop》の他に土地が1枚あれば良い。
《Mishra’s Workshop》がキープ基準の一つに成り得る理由だ。
加えて、《Mishra’s Workshop》と《古えの墳墓/Ancient Tomb》の《裏切り者の都/City of Traitors》どちらかのカードがあればNULL MUDのメインでほぼ全ての呪文が唱えられる。
言い換えれば、土地は2枚あればその他の土地は妨害として使用可能なのだ。
例え、《Null Rod/無のロッド》が場にあったとしても。
従って、NULL MUDは序盤に《Null Rod/無のロッド》を展開した後、4マナ確保できればSoloMoxenは必要ない。
よって、展開したマナ・アーティファクトは《からみつく鉄線/Tangle Wire》や《煙突/Smokestack》といったカードのタップコストや生贄に捧げることで間接的にアドバンテージとできる。
これは《Null Rod/無のロッド》があってもなくても同様である。このこともNULL MUDを《Null Rod/無のロッド》に頼りきりにならない構成にしている。
以上のように、NULL MUDはたくさんの議論に基づく構築がぎっしり詰まっている。
これはNULL MUDに限ったことではないだろう。
Standard、Legacy、Vintage・・・どの環境のデッキもこういったことはなされていると思う。
しかし、MUD/Staxはその中でも非常に計算されて作られた方のデッキでないかと個人的には思う。(依怙贔屓丸出し)
マナ基盤やデッキの構築の際にはこういったことを議論すべきであろう。
あくまで理論であり、事故がなくなるわけではない。
しかし、このように議論されたデッキは、なされていないデッキと比べて安定感があるのではないだろうか。
大会等で勝ち上がるには何回もプレイされるだろう。
毎回ブン回りできれば良いが、そううまくいくとは限らない。
となると、こういった構築が活きてくる。
何よりキープ基準が明確になる。
これはデッキをプレイしやすくすることにつながる。
何回戦もあるトーナメントでは重要になってくる。
NULL MUDは無色ゆえにこういった計算がし易い。
他のデッキで最適なバランスを見つけるにはまさにプレイを重ねて「調整」するしかないだろう。
しかし、議論は必要なのではないだろうか。
よく、カードの必要・不要に付いて討論されているが、使用した感触だけで入れている場合を目にすると残念でならない。
確かに、マジックとしてはあまり表に出ない部分であると思う。
特に、そういったことが考慮されたコンボデッキやテンポデッキは「安定して勝てるデッキ」であるに違いない。
(http://battlecruiser.diarynote.jp/201112091709082171/)
この文章は個人的な意見なので他の意見もたくさんあると思います。
違うと思ったことや、おかしいと感じたことなどはご指摘いただければ幸いです。
まず、結構マニアックな話題になると思います。
ここで言うマニアックとは世間一般ではあまりされないような話であり、他のデッキに関してはあまり役に立たない部分も多いと思いますので一応。
まずはNULL MUD(再掲)
Business (34)
4 《虚空の杯/Chalice of the Void》
4 《無のロッド/Null Rod》
4 《抵抗の宝球/Sphere of Resistance》
4 《アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》
1 《三なる宝球/Trinisphere》
3 《からみつく鉄線/Tangle Wire》
1 《煙突/Smokestack》
4 《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph》
4 《磁石のゴーレム/Lodestone Golem》
2 《先駆のゴーレム/Precursor Golem》
3 《映し身人形/Duplicant》
Mana Sources (26)
1 《Black Lotus》
1 《Mox Emerald》
1 《Mox Jet》
1 《Mox Pearl》
1 《Mox Ruby》
1 《Mox Sapphire》
1 《Mana Crypt》
1 《太陽の指輪/Sol Ring》
1 《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》
4 《Mishra’s Workshop》
4 《古えの墳墓/Ancient Tomb》
1 《裏切り者の都/City of Traitors》
1 《露天鉱床/Strip Mine》
4 《不毛の大地/Wasteland》
3 《幽霊街/Ghost Quarter》
Sideboard (15)
1 《映し身人形/Duplicant》
3 《鋼のヘルカイト/Steel Hellkite》
2 《先駆のゴーレム/Precursor Golem》
4 《虚空の力線/Leyline of the Void》
3 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
2 《The Tabernacle at Pendrell Vale》
前回、「とはいえこのデッキ、非常に理に叶った構築がなされていることも確かである。」
と最後の文章で書いた。
自分が理にかなっていると感じた理由をここで書きたいと思う。
上記のように感じた理由は以下の3個だ。
①《Null Rod/無のロッド》を中心とした構築
②土地破壊カードの枚数
③マナ配分
これらは複雑に絡み合っているので一つ一つ議論していくことはまず無理だと思われる。
従って、複数の要素に関して一度に述べることになり、わかりにくくなってしまうのはご容赦いただきたい。
まず、①《Null Rod/無のロッド》を中心とした構築
言わずもがな、Vintegeではアーティファクトを一種のマナ基盤と捉えて構築する傾向がある。
それらを否定することのできる《Null Rod/無のロッド》は非常に強力だ。
勿論、自分にも効果が及んでしまうわけで、起動型能力を必要とするアーティファクトはこのデッキでは如何に強力な効果を持とうとも扱いづらいことを意味する。
→マナ・アーティファクトは展開のために必要不可欠なので、どうしても手放すことは出来ない
実際、このデッキは《金属細工師/Metalworker》や《カルドーサの鍛冶場主/Kuldotha Forgemaster》、《威圧の杖/Staff of Domination》そして《銀のゴーレム、カーン/Karn, Silver Golem》といったカードを入れていない。
→余談だが、最近のMUDには《金属細工師/Metalworker》の有無は関係ない。
これらのカードはゲームを決める力が往々にしてある。
しかし、NULL MUDには適さない。だから、入れない。
単純なようだが、このように割り切って構築することは大事であり、Vintageのデッキでは珍しいとも個人的には思っている。
《修繕/Tinker》と《荒廃鋼の巨像/Brightsteel Clossus》、《Time Vault》と《通電式キー/Voltaic Key》等は良い例だ。
2枚のカードを投入するだけで勝ち手段が増えるのだから、魅力的であるのは確かだが。
→今回の議論とは逆説的であるが、全くシナジーを無視してでもこれらのカードを投入するのも構築であるので、どちらが良いかは言えないが。
NULL MUDは《Null Rod/無のロッド》を見越した上での構築をしている。
アーティファクトは誘発型能力によりアドバンテージを確保しようとしているのが見て取れると思う。
この傾向は、最近のトレンドだろう。
さて、話はそれだけでは終わらない。
このデッキ、相手の行動に対してもしっかりと構築されている。
《Null Rod/無のロッド》抑えられないマナ基盤がある。
土地だ。
マナ拘束や《Null Rod/無のロッド》を展開された場合、相手が頼るマナ基盤は土地だ。
これは明白である。
そこで、②土地破壊カードの枚数が意味を持つ。
総計8枚。
この枚数を聞いてピンと来た人は相当Vintageをやり込んでいる方々だろう。
8という数字は往々にしてMUD以外のコントロール系デッキ(Tezzeret’s Vault等)が搭載する特殊地形の数だ。
デッキによっては基本地形も含めて10枚程度というデッキもあるくらいだ。
つまり、理論上相手のマナ基盤を完全に破壊することも可能である。
NULL MUDには《Null Rod/無のロッド》によってアーティファクトによるマナ基盤を潰し、残りの要素も理論上、しっかり否定できる枚数が入っているのだ。
何?基本地形があるって??
たしかにその通り。
しかし、Vintageでは基本地形は多くても3枚であり、Dual Landsの代わりはまず務まらない。
加えてNULL MUDは上記8枚の土地を妨害として使用し、失われても機能するように構築されている。
→詳しくは「③マナ配分」で
Vintage環境は基本地形でさえ、《露天鉱床/Strip Mine》の存在により完全な信頼を置けない環境であると言うことが出来るだろう。
基本地形は確かに頼れる。
しかし、その信頼度は他の土地と比べてであって、決して絶対的なものではない。
(青)(青)のダブルシンボルが必要なデッキは《島/Island》二枚あれば良いという構築の仕方はVintageにおいて誤りである場合が多い。
むしろ、危険だ。
基本地形を出したら、《露天鉱床/Strip Mine》で割られてGGということが起こりえる。
これは明らかにプレイングミスであると思う。ミスの判断は個人に委ねられるので最終的な判断は各々に任されることも書いておく。
《露天鉱床/Strip Mine》は如何なるデッキにも入りうる。
MUDだけではない。
実例を出そう。
実際に同大会で3位に入っていたデッキには《露天鉱床/Strip Mine》が積まれていた。
デッキは青黒Plainswalker/Snapcaster Controlと言って良いだろう。
このデッキに対して、初手にカウンター沢山と《島/Island》や任意の土地1枚、《Ancestral Recall》などという手札をキープしようものなら、場合によっては何もできないだろう。
どれほど優れたカウンターを搭載していても無駄だ。
いや、どれほど優れた手札でも土地の枚数によっては辛い。
このように、相手に《露天鉱床/Strip Mine》が1枚あるだけで、キープやプレイ基準が変わる。
《露天鉱床/Strip Mine》がVintageで制限、Legacyで禁止カードである所以はここにあるだろう。
《幽霊街/Ghost Quarter》も、Dual Landsが基本地形に変わることも痛手だ。
特に、Snapcaster Controlにおいては土地を並べることが大切であり、土地が1枚無くなるというイベントがデッキに与える影響は予想以上に大きい。
MUD側も土地を1枚諦めなければならないが・・・
《幽霊街/Ghost Quarter》の場合はMUD側も《露天鉱床/Strip Mine》や《不毛の大地/Wasteland》程は手放しでは使えない。
ここで次の話題が出てくる。
③マナ配分についてだ。
まず、NULL MUDの平均マナコストから見ていこう。
総呪文コスト97
以上より、60で割れば1.6。
感想は個人に任せる。
MUDというと「《Mishra’s Workshop》を始めとしたマナ加速からパワーカード連打」という印象を持っている人もいると思うが、個人としてはそんなことはないと思う。完全に間違っているとも言えないが。
勿論、そういった構築・プレイングの方が良ければそうする。
現段階ではそのような構築では通用しないだろう。
Business(=仕事をするカード)自体の平均マナは
97÷34=2.9(≒3!!)
お分かりだろうか。
3という数字は《Mishra’s Workshop》が供給するマナ数であり、2.9という数字は非常に理想的だ。
この数字は3より大きくてはならないが、3未満であると無駄が出てくる。
理由は簡単。
最大のマナ基盤である《Mishra’s Workshop》で唱えられるコストでなければならないが、逆に小さいとマナが無駄になってしまうからだ。
つまり、NULL MUDのマナ構築には無駄がない。
ここで、Business(=仕事をするカード)の総呪文コストをManaSourceで割ってみる。
すると、97÷26=3.7
およそ4。
この数字が意味するところはマナ基盤に相当するカード1枚が出せるべきマナ数だ。
当然、足りない。
→3.7はデッキを回す上で、総体的にマナ基盤に対し要求するマナとも受け取れる。
ということで、2枚以上のManaSourceを用いで確保しなければならない。
つまり、このデッキは初手に最低でも2枚以上のマナ基盤を必要とすることを意味する。(正確には4マナが目安になるということ)
ところで、この4という数字をみてニヤリとする人もいるのではないだろうか。
そう、「《Mishra’s Workshop》+マナ基盤1つ」
実は、これこそがMUDのマナ基盤の基本であり、キープ基準のひとつとなっている。
MUD/Staxの基準の一つが《Mishra’s Workshop》であるのは、強力な4マナアーティファクトを1ターン目に出すためではない。
ひいては、4マナが集中しているからでもない。
4マナを出せることがデッキの85%-90%を利用できることにつながるからだ。
ちなみに、このデッキのメインでは4マナ揃うと65枚、つまり90%以上を唱えられる。
そして、追加のマナ基盤は必要ない。
つまり、《露天鉱床/Strip Mine》や《幽霊街/Ghost Quarter》といったカードは出し惜しみせず使用できる。
《Null Rod/無のロッド》の場合は他に《Mishra’s Workshop》の他に土地が1枚あれば良い。
《Mishra’s Workshop》がキープ基準の一つに成り得る理由だ。
加えて、《Mishra’s Workshop》と《古えの墳墓/Ancient Tomb》の《裏切り者の都/City of Traitors》どちらかのカードがあればNULL MUDのメインでほぼ全ての呪文が唱えられる。
言い換えれば、土地は2枚あればその他の土地は妨害として使用可能なのだ。
例え、《Null Rod/無のロッド》が場にあったとしても。
従って、NULL MUDは序盤に《Null Rod/無のロッド》を展開した後、4マナ確保できればSoloMoxenは必要ない。
よって、展開したマナ・アーティファクトは《からみつく鉄線/Tangle Wire》や《煙突/Smokestack》といったカードのタップコストや生贄に捧げることで間接的にアドバンテージとできる。
これは《Null Rod/無のロッド》があってもなくても同様である。このこともNULL MUDを《Null Rod/無のロッド》に頼りきりにならない構成にしている。
以上のように、NULL MUDはたくさんの議論に基づく構築がぎっしり詰まっている。
これはNULL MUDに限ったことではないだろう。
Standard、Legacy、Vintage・・・どの環境のデッキもこういったことはなされていると思う。
しかし、MUD/Staxはその中でも非常に計算されて作られた方のデッキでないかと個人的には思う。(依怙贔屓丸出し)
マナ基盤やデッキの構築の際にはこういったことを議論すべきであろう。
あくまで理論であり、事故がなくなるわけではない。
しかし、このように議論されたデッキは、なされていないデッキと比べて安定感があるのではないだろうか。
大会等で勝ち上がるには何回もプレイされるだろう。
毎回ブン回りできれば良いが、そううまくいくとは限らない。
となると、こういった構築が活きてくる。
何よりキープ基準が明確になる。
これはデッキをプレイしやすくすることにつながる。
何回戦もあるトーナメントでは重要になってくる。
NULL MUDは無色ゆえにこういった計算がし易い。
他のデッキで最適なバランスを見つけるにはまさにプレイを重ねて「調整」するしかないだろう。
しかし、議論は必要なのではないだろうか。
よく、カードの必要・不要に付いて討論されているが、使用した感触だけで入れている場合を目にすると残念でならない。
確かに、マジックとしてはあまり表に出ない部分であると思う。
特に、そういったことが考慮されたコンボデッキやテンポデッキは「安定して勝てるデッキ」であるに違いない。
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